「あればいいのに」を、AIに相談してツールにしてみた

「あればいいのに」をAIに相談してツールにした体験を表したアイキャッチ Logs

仕事をしていると、「もう少し楽にできないか」「こういうものがあればいいのに」と思うことがあります。「このやり方でいいのだろうか」と気になることもあります。

以前は、そう思っても、既存のサービスを探すか、今ある方法の中で工夫するのがほとんどでした。

最近は少し違います。「これ、AIに相談したら自分で解決できるのでは」と考えるようになりました。実際にやってみると、頭の中にあった構想が、AIとの会話から動くものになりました。

構想を形にするまでには、いくつもの工程があった

以前、自分でプログラムを書いていたことがあります。だから、何かを作るのにコードを書くだけでは足りないことは分かっています。

まず、何を作るのかを整理する。次に、どう実装するかを考える。作るものによっては、プログラミング言語から学んだり、その環境ならではの手順や作法を理解したりする必要もあります。そこからコードを書き、動かし、問題があれば原因を調べて直す。

アイデアがあっても、動くものにするまでには相応の準備と手間がかかりました。

今は、作りたいものや動きを伝えると、実装方法や必要な手順も含めて相談しながら進められます。分からないことはその場で聞けます。一行ずつコードを書かなくても、実装されたものが返ってきます。動かしてみてうまくいかなければ、その結果をAIに伝えて直してもらいます。

かつては自分で調べ、学び、理解してから進めていた部分を、今は会話の中で進められます。その工程を経験しているからこそ、これは単に「プログラミングが楽になった」という変化ではありません。実装の進め方そのものが変わりました。

きっかけは、QRコードを作るときに気になっていたこと

最初に作ったのは、QRコードを生成する小さなツールです。

仕事では、公開前のWebページにアクセスするためのQRコードが必要になることがあります。これまでは、Web上のQRコード生成サービスを使っていました。

それらのサービスが危険だと考えているわけではありません。ただ、公開前のURLを外部のWebサービスに入力することには、以前から少し抵抗がありました。

「QRコードを作りたいだけなら、外部サービスにURLを入力せず、手元で生成できればいいのでは」

そう考えて、AIに相談しました。欲しいものを伝え、必要な機能を話しながら整理していく。できあがったのは、HTMLファイル1枚で動くQRコード生成ツールでした。

AIとの会話から、実際に使えるツールへ

このツールでは、自分ではコードを書いていません。「こういうものが欲しい」とAIに伝え、機能や動きを会話しながら詰めていきました。コードエディタも使っていません。

AIへの相談と生成ファイルの保存には、私用のiPadを使いました。できあがったファイルは仕事の環境に持っていき、ブラウザで動かします。問題があれば、その結果をAIに伝えて直してもらいました。

完成したツールはローカルに保存し、ブラウザのお気に入りからすぐ開けるようにしています。頭の中で思っていただけのものが、今は仕事で使うツールとして手元にあります。

AIと相談して作成したQRコード生成ツールの画面
AIと相談しながら作ったQRコード生成ツール。HTMLファイル1枚で動かし、現在も仕事で使っています。

ひとつ形になると、もっと試したくなる

QRコード生成ツールが使えるようになると、「もう少し複雑なものでも作れるのでは」と思うようになりました。

次に作ったのが、Webサイトの画面キャプチャをまとめて取得するChrome拡張機能です。

ページ数の多いWebサイトでは、各ページの画面キャプチャを取得して整理するだけでも手間がかかります。そこで、対象となるページを取得し、必要に応じてサイトマップを作り、ディレクトリ単位で整理しながらキャプチャを取得できないかと考えました。

進め方はQRコード生成ツールと同じです。やりたいことを伝える。必要な機能を一緒に整理する。できあがったものをChromeで動かす。問題があれば結果を伝えて修正する。

これを繰り返し、動作検証を終え、拡張機能として配布できる状態まで仕上げました。

「作れる」と「運用できる」は別だった

ただ、Chrome拡張機能では別の課題が見えてきました。

止まったのは、実装ではありません。動作検証を終え、配布できる状態まで完成しています。止まっているのは、その先です。「これを社内でどう配布し、どう運用するのか」が、まだ決まっていません。

どう配布するのか。更新するときはどうするのか。セキュリティや社内ルールの面で、どう扱うのか。

これは、コードが書ければ解決する問題ではありません。実装とは別の問題でした。

「作れること」と「組織の中で運用できること」は別です。AIによって実装のハードルは下がりましたが、配布や運用、セキュリティ、組織のルールがなくなるわけではありません。

DNWでもAIを使っている

AIの使い方は、仕事のツールだけではありません。DNWを再開してからも、いろいろな場面で使っています。

  • 頭の中の考えを整理する
  • 記事のテーマや方向性を考える
  • 構成を作る
  • 記事を書く
  • 文章を整える
  • タイトルや概要文を考える
  • 挿絵を作る
  • アイキャッチを作る
  • 公開前に内容を確認する

以前は、これらを一つずつ自分の手でやっていました。今は、考えの整理から文章や画像の作成まで、AIと一緒に進められます。

もちろん、何を書くのか、何を伝えるのか、できあがったものを採用するのかは自分で判断しています。そのうえで、制作の負担は以前より減りました。DNWを再開できた理由のひとつであり、続けやすくもなっています。

DNWで生成AIをどう使い分けているかは、「ChatGPT・Claude・Geminiを試して、今はこう使っている」 に詳しく書いています。

自分がやったことは「バイブコーディング」というらしい

こうしてツールを作っているうちに、AIに自然な言葉で作りたいものを伝えながらコードを作る方法が、「バイブコーディング」と呼ばれていることを知りました。

「バイブコーディングをやってみよう」と思って始めたわけではありません。解決したいことがあってAIに相談していたら、後から、その方法に名前があると知った。それだけです。

「あればいいのに」で終わらせず、作って試す

仕事の中で不便や懸念に気づく。

「こういうものがあれば解決できるのでは」と考える。

AIに相談する。

実際に作って試してみる。

今回やってきたのは、この繰り返しでした。

以前なら、考えたところで既存のサービスを探すか、今ある方法で工夫することがほとんどでした。自分で作ろうとすれば、実装方法を調べ、必要な技術を覚えるところから始める必要があったからです。

今は、そこから始めなくてもいい。曖昧な仕様も、会話をしながら形にしていけます。

もちろん、作ればすべて解決するわけではありません。Chrome拡張機能のように、配布や運用まで進んで初めて見えてくる課題もあります。

それでも、「こんなものがあればいいのに」で終わらせず、一度作って試せるようになった。

解決したいことに対して、自分で道具を作るという選択肢が、今はあります。